石組の日本庭園施工例(庭石の組み方 施工方法) 東京都文京区光源寺様の玄関前にて
先日、東京都文京区の光源寺様で造園工事を致しました。
先年完成した本堂と庫裡前の造園施工にあたって、人が親しみやすい空間、そして建築を引き立てる前庭に仕上げて欲しいとのご要望をいただきました。
したがって、石組や植栽は、過度に主張しすぎない範囲で美しい空間になるよう配慮しました。石組は、一見おとなしい印象ですが、寺院前庭と言うことをふまえて、同時に緊張感も出せるよう微妙な傾斜角度や高さ、向きにも妥協せず、細心の注意をはらいました。
玄関前の石組と植栽
光源寺様は、浄土宗のお寺で、山号は天昌山です。天生17年(1589)に神田に創建され、慶安元年(1648)に現在地に移転されました。
鏡内には元禄10年(1697)造立の御丈約8mの十一面観音像がありましたが、東京大空襲で焼失し、平成5年御丈6m余の御像として再建されました。現在も<駒込大観音>の名で親しまれています。
江戸名所図絵に描かれた駒込大観音

また、毎年7月9日と10日には「四万六千日 ほおずき千成り市」が開かれ、多くの参詣者で賑わいます。『四万六千日』の起源は浅草のほおずき市と同じで、7月9・10日の観音様の日に参詣をすると四万六千日(=約126年)分のご利益があるという縁日です。
本堂側から三石組の空間
一石ごとの据え付け方はもちろんのこと、平面から見た3石の空間に気を配ります。
青石と黒松の景観
青石と黒松がお互いを引き立てるよう配慮しました。
本堂前の二石組の景観
造園施工中の様子
三又と呼ばれるヒノキ丸太の三脚にチェーンブロックという滑車を吊り下げて石組を行っています。この方法でかなりの重量物をつり上げる事が出来ます。写真の石は2トン弱の重量があります。
クレーン車で石をつり上げる方法もありますが、現場の状況によっては機械が邪魔になって石組が見にくくなって、微妙な感覚が把握しづらくなってしまいます。
効率やコスト、現場状況によって施工方法を選択するのが重要ですが、何でも機械に頼ってしまうのは味気なく、古来から伝わる技術の低下にもつながってしまいます。
石の吊り上げ方ですが、基本的に石の重量にあった太さと長さのワイヤー一本で吊り上げます。<一本吊り>と言い、石の重心や形を見極めて、吊り点(ヘビ口の位置)を調節することで、石を据え付けたい角度で吊り上げることが出来ます。
整地後の2石組
整地は造園工事の中で、仕上がりの善し悪しを決める重要な作業です。据え付けた石の根の部分を埋めすぎたり、逆に浅すぎたりするだけでも安定感のない仕上がりになってしまいます。また、ある程度踏み固めながら整地をしておかないと、土が流れたり、歩いただけで凸凹になってしまいます。
石の下には、<かませ石>と呼ぶ石をはかせます。しっかりとかませ石をはかせておくことで、強度のある安定した造形を保つことが出来ます。
黒松植栽の様子
石組後、植栽作業にかかります。日本庭園では基本的に石組でバランスをとった後、補助的に植栽をします。
この黒松は高さ70センチで幅が5メートルもあります。石を引き立てるため過度に仕立ててない松を探しました。運良く青石とマッチする黒松が見つかりお寺様にも喜んで頂けました。
仕上げの苔貼り作業
簡単に剥がれないよう、土と密着させています。特に際の部分は敷石よりも下げ、丁寧に押さえます。苔は日光を好むスギゴケを用いました。水をまくと落ち着きのある緑色になります。
この度の造園工事のご紹介は以上です。
光源寺様には大変お世話になり、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
