この度、サクラの木を少しでも元気にしたいという思いで樹木活性化のための作業を行いました。
写真のように、現場のサクラの根本には砂利が敷き詰められており、長年にわたって踏み固められている状態です。サクラの根の上に平均で20~30センチの固められた砂利の層ができてしまっています。いわば、コンクリートで蓋をされたような状況です。お花見でにぎわうソメイヨシノの地表には、このように踏み固められた地盤が多くみられます。サクラの寿命にもかかわる深刻な問題です。
サクラは根の浅い浅根性の樹木なので、根が集中している地表近くを踏み固められると根の伸長に傷害をきたします。特に、根に供給される酸素が絶たれ、窒息状態になるのが問題と考えました。根が生きていくためには、水だけでなく大量の酸素が必要です。根の先端にある細根から、水と共に水に溶け込んだ空気のなかの酸素を吸収して呼吸しています。空気が土壌に入り込まないと微生物やミミズも繁殖できないので、有機分が分解されず、養分も供給されなくなってしまいます。
地下の根の善し悪しは、地上部の枝や幹の生育と相関関係があります。根から十分な水分、養分、酸素が吸収できなくなると写真のように枝がれや幹のうろができてしまいます。
木は、大きくなればなるほどたくさんの養分や水分を必要とするので、根の善し悪しが木の健康の善し悪しを決める最大の要因となります。
今回の作業では、根と土壌に酸素や水分が供給されるよう60~100センチの酸素管(DOパイプ)を使用しました。目詰まりしにくく、効果が持続する供給口となります。夏場には水やりの管としても利用できます。
また、併用してグリーンパイルと呼ばれる打ち込み式の肥料を用いました。ゆっくりと肥料分が溶け出していく肥料で、掘り返しにくい場所で重宝します。
作業工程
ダブルスコップを使って深さ1メートルほど掘ります。固い地盤なのでかなりの重労働です。
穴の中に酸素管を入れます。
酸素管と地盤の隙間をバーク堆肥で埋めます。
地上部に専用のキャップをかぶせ、その脇にグリーンパイルを打ち込みます。
堆肥を混ぜた土で埋め戻します。
人がたくさん歩く場所なのでつまずかないように高さを調整し、砂利を戻しました。大木なのでサクラ1本につき8カ所くらい施工します。
いたってシンプルな工法ですが、前年同じ工法で治療した樹木にはかなりの効果が見られました。
狭いスペースに植栽する場合などは、植え付けの段階で酸素管を入れておくとより効果的です。
また、サクラの剪定についてですが、今回のように、枝葉を維持するだけ根に力の無い木は、遠くに枝を伸ばすよりも、幹に近いところから出た若い枝を育てることが大切です。サクラ切る馬鹿などと云われるように、切り口から腐りやすい木ですので無理はできませんが、時には若枝との更新も必要です。
