定泉寺様は、文京区にある浄土宗のお寺で、秦造園の大切なお客さまです。樹木の剪定等の境内管理を任せて頂いて6年ほど経ちますが、数え切れないほど貴重な経験を積ませて頂き、大変感謝しております。
定泉寺様は裏千家茶道教室としても活動しておられるので、お茶事ができるようにとの要望で小規模な露地を造らせて頂きました。
<自然石の飛石と蹲踞の景>

露地で手水を使う作法には、心身を浄める意味があり、武野紹鷗(たけのしょうおう)(1502~1555)の頃原型があらわれ始め、千利休(1522~1591)にいたって完成されたと伝えられています。
蹲踞は、席入りする前に心身を浄めるための造形ですから、清浄感や緊張感を醸し出して、景観を引き締める役割があります。
<蹲踞の景>

蹲踞は中鉢形式とし、境内にあった手水鉢を利用させて頂きました。造園用語では、中心部を「海」、一番奥の大きめの石を「鏡石」、一番手前の平らな石を「前石」、その向こう側を「手燭石」と「湯桶石」(裏千家では手燭石が右)と呼びます。
また、役石の据え方には幾つかの約束事があります。前石の前端から水穴の中心までは、約75㎝までの寸法で、手水鉢の高さの違いによる使い勝手を考慮して決めます。手燭石は、湯桶石よりも高く据えなければなりません。
特に神経を使う点は、石の組み方にあります。海の外側からの土圧に耐える強度をもつ石の組み方が要求されます。石と石の間を「合端」(あいば)と呼びますが、合端が良くしかも美的に組み上げるのには経験と技術を要します。セメントで補強しなければ崩れてしまうような仕事は、レベルが低いと思われます。
写真左奥の置灯籠は、「鉢灯り」(はちあかり)と呼ばれ、手水を使うときの照明の役割を果たすと共に、景趣を添える大切な構成要素です。
